軽くヲタ趣味に迷走する毎日の事柄とか。


by annrimayu

つ短編・1。

TOP絵変更に伴っていつもと違う風体で書いてみるスレ。脱ミステリ。スレはスレ。


「っあ、めんどくせぇっ」
暗闇。
木の蔭に隠れながら私は小さく息を吐いた。髪がうっすらと汗をかいた肌に張り付く。
今は両手がマグナムで塞がっていてどうにもならないのがもどかしい。
背に負うようにして担ぐ米だか独だかソだか知らんがバヨネットのためだけのライフルが重い。
肩が凝る。
「そういう問題じゃないネ、シズキ」
スキンヘッドに黒色眼鏡。それに青黒い服。如何にも胡乱な黒人神父がそれをたしなめる。
無論、カトリックであるはずがない。名前はボブ。
それで十分。未だに突っ込みどころの多い奴だよっ。
つかさ、あんた目ぇみえんのかよっ、とかね。
「そりゃぁ、わかるけどねっ」
唇を尖らす。
未だ見たことのないお上の命令に馬鹿正直にへいこらと尻尾をふって未開の死地(ジンガイマキョウ)に赴くならば、東京で戦争(クーデタァ)勃こした方が人間として尊厳ある死を迎えられるに違いない。

言わばそういう状況だ。
「だって、あいつら穴ァ開けても立つんだもんなっ」
ちらりと森閑とした森の奥にを向ける。
奴は猿のように機敏な動きで闇に消えた。ありゃ人間止めてるね、うん。
「それがアレの特性だから仕方ないネ、あのデビルフィッシュはネ」
「全く、タコだかなんだか知らんけどねっ」
ありゃあ、陸上にいるんだから、れっきとした蟲だろうになぁ。なんて。
そりゃあ見た目に気持ち悪いことこの上ないけどねっ。
軟体生物で一番近いのは確かにタコだろう。いや、なめくじか。
どちらにしろ魑魅魍魎に違いない。
つまるところ私たちはありきたりに悪魔祓い(エクソシスト)なわけだっ。
そして、アレらに憑かれた人間は、体内環境から脳内分泌物質に至るまでまで全く別種に"改造”されるわけだ。
よもやナノマシンに某仮面のバイク乗り真っ青だねっ。
「ほんと、まるで菊池伝奇真っ青だよ」

ふとして呼吸を整えた。気配が確実に濃くなったっからだ。
それはボブも気付いたようで、視線で頷く。
しかし雑だ。雑すぎる。
まるで幼稚。
幼稚園児の方が鬼ごっこやらかくれんぼで鍛えた気配の殺し方を知ってるよっ。
人外になる代わりにお頭(つむ)のほうは弱いらしい。それとも罠か、違うかなぁ。
考えるなら、まず特攻。特攻三勇士。
是常識。
飛び出した。
もはや制止の声は無用のもの、とボブは何も言わなかった。
自慢の膂力で走りながら、撃つ。
遅い。まるで映画のゾンビ。

一発、二発。脳天に。
三発、四発。脳髄に。
五発、六発。頭蓋に。
弾切れ御免で魂消えた。

急停止。その勢いで飛び出したバヨネットを手に持つ。
切るのでなくて穿つ。

壱閃、弐閃。先行し。
参閃、肆閃。閃光し。
伍閃、陸閃。穿孔し。
血塗れ御免で魂消えた。

嗚呼、是三千大千世界爾如何。

恍惚としたその表情を見止め、ボブは携帯を取り出した。
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by annrimayu | 2005-10-25 15:23 | 日記。